<デニシュウクホログラム(一光束ホログラム)>

図A.1 デニシュウクホログラムの製作

図A.2 デニシュウクホログラムの再生

 これは反射型ホログラムでリップマンホログラムとも呼ばれる.このホログラムに光を当てると干渉フィルタと同じ作用によって,特定の波長の光だけが選択的に反射される.デニシュウクホログラムは他のディスプレイホログラムと比較した場合

  1. 左右方向はもちろん,上下方向の視差もある.
  2. 観測位置を変えても再生像の色は変わらない.
  3. 原理的にホログラムからの反射によって再生像が得られる.
などの特徴を持っている.これらのことを一言でいえば普通の物体を見るのと同じように,ごく自然な雰囲気で再生像を見ることができる.また再生像のカラー化にも適している.
 ここで述べるデニシュウクホログラムは反射型の中でも一光束で製作するため比較的簡単にできる.ただし,この方法は感光材料を透過した光を物体光とするため,参照光と物体光の強度比を選ぶことができない.明るい再生像を得るためには反射の大きい物体を選ばなければならない.デニシュウクホログラム製作の光学系を図A.1に示す.参照光は感光材料によっていくらか吸収され減衰するが物体を照明する程度の光は透過する.そして物体から反射される光が物体光となって参照光と干渉しホログラムができる.再生は図A.2のように参照光を入射した角度で白色照明光を入射させると,観察者の位置で再生像を観察することができる.また物体を感光材料に密着させて置くことができるので,ボケの少ない鮮明な再生像が得られ,イメージホログラムとみなすことができる.