コンピュータでホログラムを作ろう!

 近ごろ流行の3次元コンピュータグラフィックス(CG)では,3次元物体の形状や色のデータから画像を計算しています.これと同じように,3次元物体のデータからホログラムをコンピュータで計算するのが計算機合成ホログラム(CGH)です.ここでは,当研究室での実際の作成法を紹介します.計算の原理はそれほど簡単ではありませんが,コンピュータとレーザプリンタとカメラがあればホログラムを作ることができます.つまり,ノウハウさえ知っていれば家庭でも製作可能です.

  1. 物体のデータを作る
     この手順はCGとだいたい同じです.ポリゴンなどを使って3次元の形状を定義します.また,3次元ではなく2次元のホログラムになってしまいますが,ビットマップをそのまま使うホログラムもあります.

  2. ホログラムを計算する
     CGのように市販のソフトはありません.当研究室でも当然,自作のソフトで計算しています.計算には,本物のホログラムに忠実に計算する方法と,視点の異なるたくさんのCGから合成する方法があります.当研究室ではどちらの方法も研究しています.

  3. ホログラムを出力する
     ホログラムを直接出力するのはそう簡単ではありません.10000 dpi 以上のちょ〜高解像度プリンタがあれば良いのですが・・・そこで,当研究室では「写真縮小」という,割と古典的な方法を採用しています.下の写真がその光景です(写真1).壁に貼ってあるのが,レーザプリンタで出力したホログラムで,10000x6000画素のCGHをA3の紙16枚に出力して貼り合わせています.それを,ミニコピーフィルムという特殊な(解像力の高い)フィルムに撮影します.それを現像すればホログラムの完成です(写真2).
     写真縮小は面倒なのでレーザプリンタで出力したものを使いたいという場合は,OHPシートに出力することも可能です.あまり良い結果は期待できませんが,手軽にできるので原理の確認には役立ちます.
     また,イメージセッタという極めて高解像度(5000dpi くらい)のプリンタで,コンピュータのファイルを持参すると,数千円でフィルムに出力してくれるサービスもあります.
     出力方法についてはこちらにまとめてあります.


    写真1 ホログラムの撮影風景


    写真2 完成したホログラム

  4. ホログラムを再生する
     普通のホログラムでも,再生にレーザが必要なものとそうでないものがあります.レーザ再生のCGHは計算の原理は簡単ですが,再生にレーザが必要なのはあまり手軽とは言えません.当研究室ではレインボウホログラムの原理をCGHの計算に組込み,レーザではなく電球の光(太陽光でもOK)でフルカラーの3次元像が再生できる新方式を提案しました.下に示したのは再生像の例です.コンピュータの画面では全くわかりませんが,実物はちゃんと3次元像です.


    再生像の例1


    再生像の例2



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