ら行



ライト Light.
光源.CGではライト自身は目には見えず,物体を明るく照らすだけの働きをする.次のような種類のライトがよく使われる. 平行光線 , 点光源 , スポットライト , 環境光

ラジオシティ Radiosity.
物体の表面を小さな面の要素に分割し,その各面要素間の反射をすべて計算することによって,間接光や面光源の シミュレーション をする方法.もともと熱の放射による伝わり方を計する方法だったため,このよび名がついた.普通, 拡散反射 だけで 鏡面反射 は計算できない.

ラスタ Raster.
ディスプレイモニタ上の2次元の配列状の ピクセル 配置のこと.

ラスタ空間 Raster Space.
モニタに画像を表示する際に適用される, レンダリング 後の画像の座標系のこと.原点は最も左上の ピクセル の左隅にあり,各ピクセルは非負整数の座標をもつ.

ラスタスキャンディスプレイ Raster Scan Display.
今日使われているグラフィックス出力を表示できるコンピュータ出力装置の最も一般的なもの.電子銃,制御電極,フォーカシング電極,偏向ヨーク,蛍光塗膜スクリーンから成る.

ラップアラウンド Wrap Around.
パッチ・メッシュを定義する場合,レンダラの曲面の上下,または左右の縁を自動的に合わせて閉じさせる方法.

ラバノーテーション Labanotation.
音楽の記法である楽譜に対して,人間の動作の記録としてラバノーテーションが使用されている.このラバノーテーションは,Rudolf Labanが提案した方式で,人間の動きを表示するための2次元グラフィック記述システムで,その主な応用はクラシックバレーやモダンダンスの記録にある.ラバノーテーションは,その記法が直接マイコンなどで編集しやすく,また,計算機解析が行いやすいという特徴をもつ.
S.W.Smoliar, W.Tracton, "A Lexical Analysis of Labanotation with an Associated Data Structure", Proc. ACM, Annu. Conf. 2, pp.727-730, 1978.

ランレングス Run Length.
図形の符号化の一つ.いま2値画像として,画面をある一定方向にラスタ走査して,同じ白地の画素(格子点)が続いていれば,その続いた格子点の数をnとして,(0,n)で表す.逆に黒地がm格子点続けば(1,m)として表す.このランレングス符号化法は,考え方が極めて単純明解であって,特に,単純な図柄に対しては有効であるが,複雑な図柄についてはこの考え方をいろいろ改良したものがある.また,この表現方法は行(走査線)ごとに長さの情報を持っているので,容易に境界の座標や,面積,周囲の長さが求められ,形の特徴もつかみやすい.

立体視 Stereoscopic Views.
右目で見た画像と左目で見た画像を作り,偏光メガネや液晶シャッタの付いたメガネで見ると立体に見えるもの.その他に立体感を出す方法として,レンティキュラ板を使ったもの,ホログラフィ,スクリーンを高速に動かすものなどさまざまな方法が研究されている.

リフラクションマッピング Refraction mapping.
透明物体における屈折された景色を マッピング によって画像化する方法.透明物体を レンダリング するのに光線追跡法をよく用いるが,リフラクションマッピングを用いると スキャンライン法 Zバッファ法 でも表現することができる. リフレクションマッピング と同様な手法で屈折光に対して適用することにより,比較的リアルな透明物体を簡易的に表示することができる.写り込む周囲の景色の方向が正反射方向から屈折方向に代わるだけで,リフラクションマッピングとほとんど同様の手法である.しかしながら,周囲の景色が屈折によって目に到達するには,少なくとも2回の屈折をしているために,少々注意深く見れば矛盾が発生する.

リフレクションマッピング Reflection mapping.
反射された景色をマッピングによって画像化する方法.この方法を用いると, Zバッファ法 スキャンライン法 でも周囲の景色を映し込むことができる.一般には投影面として無限半径の球体を用いるが,特殊な制約条件下では,円筒や立方体なども用いることができる.リフレクションマッピングでは,鏡面反射物体に他の物体が移り込むような位置関係の場合に矛盾が発生する.

両眼視差 Binocular Parallax.
左右2つの眼が少し離れているために奥行きの違いに応じて起こる,左右の眼に写る像のずれを意味する.これを利用して,左右の眼に写るのと同様にずれた2枚の画像を左右の眼で独立に見れば立体感を感じること,すなわち 立体視 ができる.

量子化 Quantization.
任意の精密さのサンプル値を離散数値の一つに切り詰めること.例えば,計算した画像のピクセル値は任意の精密さを持ち得るが,ディジタルのディスプレイは有限の数の飛び飛びの強度値しか表示できない.

輪郭線掃引法 Border Sweeping Method.
ボリュームレンダリング において,CTなどの断面画像を断面の間隔と等しい厚みを断面の輪郭線に与え,これを側面とする板状切片の積み重ねで物体を構成する手法を輪郭線掃引法という.この方法は ボクセル を用いる手法と同様に,複雑な形状の断面を持つ物体にも適用できる.
H.N.Christansen, T.W.Sederberg:"Conversion of Complex Contour Line Definitions into Poligonal Element Mosaics", Computer Graphics, SIGGRAPH'78, 12, 3, pp.187-192(1978).

レンズ Lens.
ビューイング平面上に画像の 焦点 を合わせるために光線を曲げる透明な面のこと.

レイクラシフィケーション Ray Classification.
空間分割法の1つ.オクトツリーがx,y,zの座標に関して分割を行うのに対して,レイクラシフィケーションではさらに光線の進む方向u,vをパラメータに加えた5次元で領域分割を行い高速化を実現する.

レイシェード RayShade.
分散レイトレーシング を採用しているフリーソフト. CSG マッピング アンチエイリアシング モーションブラ アニメーション などの表現が可能.Unix を中心とした多くのマシン上で動作可能.

レイトレーシング Ray Tracing.
光の進んでいく様子を目の方から逆にたどっていく方法.光線追跡法・視線探索法などともよばれる.計算方法が単純であり,反射・屈折・影などの表現も簡単にできるため,リアルな画像を作るためによく使われるが,計算が遅いという欠点がある.しかし最近は,空間を格子状に均等に,あるいは物体の多いところは細かくといように非均等に分割し,物体がどの空間に入っているかを前もって求めておくことで高速化を図っている.この方法を 空間分割 という.レイトレーシングの特徴として,
  1. アルゴリズムが極めて単純であるため,プログラムが容易である.従って,ハードウェア化に適している.
  2. 単純な操作の繰り返しであるが,その反面非常に多くの計算時間を必要とする.これを避けるための良策は並列処理を行うことである.
  3. この方法は,光線を示す直線と物体との交点を求めることが基本となっており,交点を求めることができるものなら,多角形のみでなく,球,円錐,双3次曲面などの種々の関数で表現できるものにも適用できる(ただし,光束追跡法は多角形に限られる).
  4. 単なる 陰面消去 だけでなく,反射,透過,屈折等,光の複雑な現象を精巧に表示するのに向いており,透明なガラスや,雲,波等のリアルな表現に利用されている.
  5. 透視投影のみでなく,球面への投影など種々の投影法にも適用することができる.

レンダーマンインターフェース RenderMan Interface.
米国Pixer社の提案している フォトリアリスティック レンダリング のための応用プログラムとレンダリングプログラムとの間のインターフェース仕様.C言語の関数仕様の部分とシェーディング言語の仕様の部分に分かれている.またこの仕様に対応させたテキスト形式のファイルフォーマットもある.Pixer社の研究内容に偏っているなど問題点もあるが,最近はこれに対応したソフトウェアも増えている.

レンダリング Rendering.
サーフィスモデル ソリッドモデル などにより与えた3次元立体に対して明るさや色を付与して,より現実に近い質感を与える作業をレンダリングという. シェーディング シャドウイング をまとめて言うこともある.

露光 Exposure.
レンダリング の中の, ピクセル 作成処理における一つの段階であり,ディスプレイモニタや人の視覚系が持つ光への非線形な反応を補償する関数を,ピクセル値に適用させるという段階である.